みなし残業代の制度が抱える根本的な問題

最終更新日 2024年4月6日 by hitozu

みなし残業代の問題点とは?

みなし残業代の制度はいろいろと問題になる事が多い制度ではあります。
特に経営者がこの制度を誤解している事や、悪用して従業員の報酬を下げるように使うという事が多いというのがこの制度の問題点として認識されることも多いのですが、これは根本的にこの制度自体に問題があるという事もあるからと考えて良いかもしれません。

参考・・・みなし残業代とは?計算方法や就業規則上の注意点など

このみなし残業代というのは、従業員が残業をしてもしなくても一定の残業代を貰う事が出来る物となっているというのが不思議な所です。
残業をしなくても残業代を貰う事が出来るわけですから、これが如何に不思議な事なのかという事は、商売をしている人であれば全ての人が分かるでしょう。

商売をしていれば物が売れなければ報酬が入る事はありませんから、このような制度が何故成り立つのかという事すら分からないという事になるわけですが、これは既に労働が時間によって支配されているという事からおかしな事になっていて、それがそのまま波及するとこのような事になるのかもしれません。

そもそも8時間働くとこれだけの報酬になるという考えは、ビジネスとは全く正反対の制度という事になっています。
そのような決め事をしてしまうという事になれば、経営者は最低限の報酬を提示するしかなく、それ以上のモノを提示すると払う事が出来ないケースが多々出てきてしまうので、まず時間で報酬を考えるという事自体にもう無理が生じているという事を知って起きなければなりません。

ビジネスは時間とは無関係で、どれだけ売れたのかというこの1点のみで報酬も決まる事になるわけですから、これを基準としなければならないのですが、そこに時間という概念を組み込んでさらには残業という概念を組み込んでいることで、この制度に既にひずみが生じているという事になります。

官僚はビジネスをしていないので理解できないのも無理はない

ビジネスには全く関係ないモノをここに持ち込んできたのはは、正に官僚的な発想によるという事になるのかもしれません。
官僚はビジネスをしていませんから、時間が経過すればそれは報酬が発生するという意味不明の理想郷に住んでいることになっています。

昔で言うと秋になれば年貢が入ってくるという事で、別に働いている人がどんな事をしているのかという事は一切関係がなかったわけです。
秋になれば年貢が入る、つまり時間が経過すれば必ず報酬が役人には入るというのが当たり前の世界なので、それをもとにして制度を考えるとこのような不思議なシステムが出来てしまうという事になるのでしょう。

残業代は残業をするしないに関わらず、一定というみなし残業代の制度はこのようなよくわからいない考え方から来ているという事になります。
そうなると当然ビジネスの現場は自分の都合のいいように解釈をするようになります。

残業代は残業時間に関係なく一定となるのが、このみなし残業代の制度だと考えられたのは当然の事だといって良いかもしれません。
何しろ残業をしなくても残業代が出るのですから、それならいっぱい残業しても残業代は一定でそれ以上は出ないという解釈が成り立つことになります。

そうでなければ経営者としてはこのようなシステムを採用するはずがありません。
残業させなければ損、残業させても損というのではいったい何がどうなっているのか分からないという事になるでしょう。

みなし残業代の制度は根本的におかしな制度になっている

官僚としては従業員を救うという目的でこのような不思議な制度を考え出したという事になるのでしょうが、あまりにも現実離れしている制度であったために経営者に都合よく解釈されて当たり前のように残業をしている人達の残業代を減らすことが出来る裏技のようなものとして使用されることになったという事です。

何しろ、この制度を採用するのかどうかは会社のトップが自由に決める事が出来るわけで、経営陣に都合が悪い制度であれば採用する必要は無いわけですから、この制度は深夜残業などのコストで悩む企業からすると、びっくりするようなシステムが出てきたという事で飛びつくことになったという事が考えられます。

当然残業がほとんどないような所はこのような制度を採用するはずはありません。
何しろやらない残業代まで出すぐらいなら、既にその分は今までから出していたでしょう。
わざわざ従業員の報酬を高くするというような制度を採用する経営者はいないのです。

こんなことは、ちょっと考えればすぐに理解できる事なのですが、これが分からないというのが、官僚のレベルのを物語っています。
超過残業分は別途払うという制度になっているという事は説明するのでしょうが、そのような事は通用しません。

何しろ根本的におかしな制度になっているわけですから、自分達の都合のいい所だけをとって解釈するというのは、民間では当たり前のように行われている事でもあります。

ビジネスは極めて厳しいもので、自社だけが理想郷のような状態で仕事をしていては勝てるものも勝てなくなるのですから、この問題は根深いものがあるといって良いでしょう。